2016-04-05

ヒンドゥー教の聖地トリンコマリー

閉ざされていたトリンコマリー
スリランカ東海岸のトリンコマリーはおよそ30年にもわたって続いた内戦中、危険区域とされていました。故に、美しい海洋風景をもつと噂はされていても実際訪れることができない場所でした。しかし、2009年の内戦終結後は観光開発が一気に加速し、東海岸の観光地として最も今注目を集めています。
トリンコマリーの海はとても穏やかです。
なぜ仏教の国でヒンドゥー教の聖地?!
スリランカの宗教別人口比は約70%が仏教徒、ヒンドゥー教徒が15%、イスラム教徒9%、キリスト教徒11%です。仏教徒の多くはシンハラ人でヒンドゥー教徒の多くはタミル人がほとんどを占めます。
ここトリンコマリーは紀元前からヒンドゥーの聖地でもあることから、タミル人が多く住んでいます。
そのため国中からは勿論、インドからも多くのヒンドゥー教の巡礼者が訪れています。
巡礼者たちが必ず訪れる聖地を2か所ご紹介いたします。

崖っぷちにある聖地
まずはじめに、ベンガル湾に突き出ている岬の突端にあるコネスワラム寺院。
この寺院は巨岩スワミロックの上に建っています。
スワミロックにはインドの叙事詩「ラーマヤナ」に出てくるラーヴァナ王の剣が突き刺さってできたと言われるRavana Vettu(ラーヴァナ王の裂け目)があります。
なぜスリランカでインドの叙事詩と関係があるのかは、また別の機会にご説明いたします。
Ravana Vettu
ここにはもともと千の列柱に飾られた寺院が建っていましたが
1505年から約150年スリランカを植民地にしていたポルトガルに1624年に破壊されてしまいました。
その後、海中から当時の柱や御神体が発見され、再建されて今に至っています。
寺院の入口ではシヴァ神が迎えてくれます。

寺院の中にあるヒンドゥー教の神々の像。
子宝祈願のために参拝者も多く訪れます。
寺院の中にあるフランジパニの木には子宝に恵まれるよう木のゆりかごがリボンでくくりつけられています。

伝説の残る聖なる温泉
もう一つはこれもラーヴァナ王の剣によって掘られたというカンニヤ温泉です。
7つもの井戸からお湯が湧き出ていて、ここで行水をすればどんな病気でも治ると信じられています。
この温泉ではラーヴァナ王の母が亡くなった時の儀式も施行された、と「ラーマヤナ」に記述されているとのことです。

周辺のレストランなどではタミル人が作る郷土料理を味わうことができます。
コロンボなどで食すシンハラ人によるスリランカ料理とは一味違ったタミル人によるスリランカ料理です。
スリランカの多様性を見て、感じることができるトリンコマリー。是非、訪れていただきたいです!

Text by Ayana Alles