スリランカの工芸品、仮面が多く作られている町が西南部にあります。
コロンボより南へ下ったところにある、アンバランゴダからゴール、ミリッサにかけての海岸地帯に集中しています。
その中でもアンバランゴダは仮面の町として知られています。
アンバランゴダは海岸地帯でもマリンスポーツ設備があるようなリゾート地ではありません。目立つ建物も特にない、小さな漁業の町です。
しかし、町中いたるところに『MASK』の看板が目に付きます。
それもそのはず仮面を作る工場や店の数がスリランカ一。中心地には仮面博物館があり、多くの観光客が訪れています。
仮面博物館の入り口。 |
仮面博物館では伝統的な仮面の展示と解説が行われています。
中は8畳ほどの部屋が2つあります。
仮面劇で使われる仮面の展示の部屋と、悪霊払いの儀式で使われる仮面の展示の部屋です。
先のブログ記事『古来から伝わるスリランカの仮面舞踊では』でご紹介したマハーサムマタ大王とその王妃の展示や、トゥィルで使用される病魔の悪霊の仮面マハーコーラ・サンニヤカーの展示もあります。
入場料は無料ですが、寄付箱が用意されています。
悪霊コーナー。真ん中が病魔の酋長。他にも盲目や悪夢の悪霊などもいます。 |
この博物館「ARIYAPALA SONS」では次の様に仮面が作られています。
仮面の材料はマチンというインド原産の木。シンハラ語で『KADURY』と呼ばれています。
マチンは軽くて軟らかいので彫りやく、仮面の生産に適しているのです。
まず木の幹部分に仮面の基本の形を木槌で彫ります。
掘られた仮面はDum Messaと言われる火床に6~7日間置かれます。
害虫からの被害を防ぐための伝統的な手法です。
火床から出た後は、仮面の様々なタイプに合わせた表情が掘られて徐々に成形されます。
次に仮面の色付けに入ります。すべての仮面は最初に表面を薄い黄色に塗られます。
続いて、彫刻家の先人が残した古代写本に従って色を加えていきます。
また、塗料には『Dorada Oil』という色の耐久性を強くする油が混ぜられています。
そして、独自の色味で仮面の顔立ちの特徴が描写されます。
鮮やかな色使い。一つ一つ手作りです。 |
所狭しと並んでいます。 |
2階には仮面ショップがあります。品揃えは豊富で大小様々なサイズがあります。
買って帰れば、スリランカに来た記念になります。
また、仮面の工房が併設されていて、実際に職人たちが仮面を製作しているところを見学できます。
仮面について見て、聞いて、その不思議に迫ってみませんか?
Text by Ayana Alles