2016-06-28

最古の聖都アヌラーダプラ(後編)

アヌラーダプラ最古の寺院、イスルムニヤ精舎

アヌラーダプラの繁栄を支えた貯水池、ティッサ・ウェワのほとりにイスルムニヤ精舎があります。
岩肌に造られているので「ロックテンプル」と呼ばれています。
御堂が岩肌を掘るように造られています。岩の上にはダーガバ(大塔)があります。
本堂には色鮮やかな涅槃仏があります。
この仏像の色の塗り替えには、東京の浅草寺が援助しました。

イスルムニヤ精舎入口。前編でご紹介したガードとムーンストーンがあります。

横たわる仏像は、入滅し涅槃に入って輪廻から解放されたことを表しています。

王子と乙女の身分を超えた恋

本堂には宝物殿が併設されています。そこに、ある男女の像があります。
この像にまつわる古代のラブストーリーがあります。
スリランカの年代記である「マハーワンサ」によると、紀元前2世紀、当時の王ドゥッタガーマニーの王子サーリヤが乙女のマーラと恋に落ちました。しかし、身分の低いマーラとの結婚は許されません。王子は周囲の反対を押し切り、愛を貫き通しました。
そして王位の座を自ら絶ったのでした。
石造の中の二人は仲良く寄り添い、永遠の愛を誓い合っているかのように見えます。石造はその名も「恋人の像 The lovers」と呼ばれています。

乙女マーラは美貌の持ち主でした。
家族になったサーリヤとマーラの石造

もう一つ「王族の像 The Royal Family」という石造があります。
こちらはサーリヤ王子とマーラの結婚後を表したものです。
中央にいるのが王のドゥッタガーマニーとその妻で、王の左側にサーリヤ王子。
マーラは身分が低かったので、王の妻の側にひっそりと彫られています。

「王族の像 The Royal Family」5~8世紀に作られたものです。

アヌラーダプラのアイコン、ルワンウェリ・サーヤ大塔

ドゥッタガーマニー王の時代、紀元前2世紀に建設が始まったルワンウェリ・サーヤという大塔があります。王が生きている間に完成にはならず、息子のサッダーティッサ王子が父の意志を継いで完成させました。
ダーガバは水疱型で純白色をしています。
そびえ立つルワンウェリ・サーヤ大塔は高さが55mです。その姿がバスや列車の窓から見えるとアヌラーダプラの到着を知らせます。

ルワンウェリ・サーヤ大塔から続く石畳はスリー・マハー菩提樹に続いています。
スリランカ仏教にふれるため、アヌラーダプラの遺跡巡りをしてみてはいかがでしょうか。

Text by Ayana Alles