スリランカ中央部、文化三角地帯の中にあるダンブッラ。
小さな町ですが、ここにはスリランカ最大の石窟寺院があります。
この寺院の始まりは紀元前1世紀。シンハラ王のワラガムバーフによって建てられました。
王は、タミル軍の侵略によって、当時首都であったアヌラーダプラから追放されました。その際、ここダンブッラの高さ200m近い岩山の洞窟に身を隠していましたが、戦に勝ち、再び王の座に戻りました。それを記念して隠れ場所であったこの地に寺院が建てられたのです。
その後、寺院は増築が繰り返され、スリランカを代表する仏教寺院へと発展しました。1991年には世界遺産に登録されています。
寺院まではこのような階段を上っていきます。 |
15~20分ほど登ると寺院入口に到着します。 |
石窟は5つに分かれています。前編では第1窟と第2窟をご紹介いたします。
最古の洞窟に寺院最大の本尊仏
第1窟は紀元前1世紀に造られた、もっとも古い石窟です。また、最も大きな涅槃像があり、その大きさは全長15mもあります。この涅槃像は、足の裏が真っ赤なのが特徴です。これには、釈迦が赤土を地を歩いてスリランカまでやってきたからだという説があります。
つま先が少しずれていることが涅槃仏のお姿を現します。 |
自然石に彫られた涅槃仏が横たわっています。 |
窟内にヒンドゥー教の神、ヴィシュヌも祀られており、これが洞窟の名前の由来になっています。
ヴィシュヌ寺院、入り口。 |
第2窟は幅52m、奥行き25mでダンブッラ最大の洞窟です。
壁や天井一面に描かれた壁画が見事です。ブッダの生涯、スリランカの歴史がびっしりと描かれていて総面積は2100平方メートルにも及びます。
仏教絵巻が岩肌一面に描かれています。 |
壁画は古いですが、保存状態が良いので、この様にはっきり見られます。 |
雫の落ちるところには壺が置かれています。岩山の頂上にもかかわらず絶えず雫が落ちています。そうして貯まった壺の中の水は聖水とされ、重要な儀式の際にのみ僧が飲みます。
この水を飲むと何も食べなくても過ごせるのだそうです。
ちなみにダンブッラとは「水の湧き出る岩」という意味で、ここが名前の由来になっています。
石の囲いとフェンスで守られる聖水。 |
56体もの仏像が安置されています。 |
後編では第3窟から第5窟をご紹介いたします。
Text by Ayana Alles