2016-06-03

古来から伝わるスリランカの仮面舞踊とは

スリランカ旅行のお土産として人気のある仮面。
鳥のような動物の仮面から強面のものまで。そんな仮面を使った舞踊についてご紹介いたします。
まるで道化師のようで、どこかコミカルな動きをします。
コロンボより南に2時間ほど下った西南部の海岸地帯では、仮面舞踊が盛んに行われています。舞踊は大きく分けてコーラムというものとトウィルという2種類があります。
2つの仮面舞踊は対照的な気質をもっています。

人々の娯楽として人気の仮面劇『コーラム』
新年や祝い事の時などに行われる仮面劇。ショー気質が強く、見る者を楽しませます。
コーラムが始まったとされる伝承があります。
昔伝説の大王マハー・サムマタの王妃マハー・サムマタ・デヴィがいました。
王妃は懐妊した時に、未だかつて見たことのない舞踊を見たいと言い出しました。
当時、女性の妊娠中に生じた欲望は悪霊の仕業と考えられていました。
これを叶えないと災いが振りかかるので、王は全国にふれを出して芸人を集めました。
しかし王妃の目に叶うものはいませんでした。
王が苦悩して病に倒れているところ、工芸の神であるヴィシュバカルマンが宮殿の庭に仮面一式をもたらしました。
その仮面を用いて踊られた舞踊が王妃の心を満たしました。
以後、見世物としてコーラムが執り行われるようになりました。
今でもコーラムが演じられる際には必ずサムマタ王とデヴィ王妃は重要人物として登場します。
使用されている仮面はお土産屋で購入することもできます。
インテリアとして室内に飾ることもできます。
こちらはスリランカレストラン「カラピンチャ」の店先に飾られている仮面。
呪術のような悪霊払いの『トウィル』
トウィルは病気を治すための悪霊払いの儀式です。
公でやるものから、ごく内輪で内密に、個人を中心として行われるものと幅広くあります。
悪霊払いの際に使われる仮面で有名なものは、マハーコーラ・サンニヤカー(病魔の酋長)。マハーコーラ・サンニヤカーはコレラ、伝染病、狂気、盲目などの18の病魔を従えています。頭にはコブラの冠をかぶり、口には鋭い歯で人間をくわえています。
マハーコーラ・サンニヤカーが出てくる儀礼では、まず油物や肉など不浄とされるものが供物として、この悪霊に与えられます。
次に患者の体から出て行くように交渉が行われる内容が舞踊で表現されます。
最後に悪霊は説得に負け供物をむさぼり食べ、引き上げることで儀式が終わります。
トゥィルで使われる仮面はコーラムのものとは違って、人に見せないようにします。
部屋の中に置いていたら悪魔が呼び込まれて家族が病気になると信じられています。
お土産屋でも並ぶことは、ほとんどありません。
博物館に展示されている悪霊の仮面。
次回はこれらの仮面が作られている町をご紹介いたします。

Text by Ayana Alles