2020-06-26

スリランカの歴史① スリランカ通史概説 前編



スリランカの歴史は大変深く、記録に残されているものだけでも2500年以上の歴史を持っています。紀元前5世紀のシンハラ人の王朝の成立以降、13世紀末までは南インドからのタミル人国家との攻防を繰り返しますが、15世紀以降はポルトガル・オランダ、そしてその後第二次世界大戦終結後の独立まではイギリスの植民地としての歴史を歩み、独立後も長い内戦が続き、現在のスリランカへ至っています。

今回からは欧米の植民地支配、独立後の内戦とその2500年の歴史を9つに分けて、スリランカの歴史を追っていきます。各節は非常に簡単な概略ですが、今回はポルトガルの植民地支配の始まりまでの歴史をご紹介します。


1.       スリランカ史の始まり (紀元前483年~紀元前161)
2.       アヌラーダブラ時代 (紀元前161年~紀元後1073)
3.       ポロンナルワ時代 (1073~13世紀末)
4.       動乱期(13世紀末~1505)

(以下次回更新)
5. ポルトガル植民地時代 (15世紀末~1658)
6. オランダ植民地時代 (1658年〜1796)
7. イギリス植民地時代(1796年~1948年)
8. スリランカ内戦時代 (1956年~2009年)
9. 内戦終結後~現代 (2009年~)


1.スリランカ史の始まり (紀元前483年~紀元前161)


 スリランカの歴史の始まりは紀元前483年と言われています。これは北インドのアーリア系の民族であったウィジャヤ王がスリランカへ渡りシンハラ人の祖となったというものです。この記述自体は紀元後5世紀に入ってから編まれた歴史書「マハーワンサ」に記されたものであり、事実としての信憑性は否定的に取られていますが、伝説としてスリランカ内外に広く知られています。

ウィジャヤ王の妻であるスリランカのクヴェニ女王に関係すると言われる遺跡(ウィルパットゥ国立公園内)


 紀元前377年には首都アヌラーダブラが建設され、その後紀元前250年にインドのマウリヤ朝の王:アショーカの使者であるマヒンダが仏教を伝えたとされています。シンハラ王朝は仏教に帰依して多数の仏教施設を建設し、仏教は国家宗教として発展していきます。

 また、紀元前3世紀末から南インドのタミル人がスリランカに侵入を始め、紀元前210年にはタミル人がアヌラーダブラを征服します。これ以降、スリランカでは常にシンハラ人とタミル人の王朝の攻防が続いていきます。



2.アヌラーダブラ時代 (紀元前161年~紀元後1073)


 紀元前161年、シンハラ王朝の王ドゥッタガマーニーがタミル人をアヌラーダブラから追放し、初めてスリランカ全域の統一支配を成し遂げます。その後もシンハラ王朝は基本的にアヌラーダブラを都としますが、何度もタミル人による征服を受け、またその度にタミル人を追放して都を奪還しています。

 この間に11年間だけ都として使われたのがスリランカの世界遺産として有名なシギリヤの都です。シギリヤの建設者であるカッサバ王は、タミル人からアヌラーダブラを奪還した父王を殺してシギリヤに新たな都を建設しますが、弟のモッガラーナによって王権を奪われ、その後また都はアヌラーダブラへ戻されています。

 アヌラーダブラは仏教の中心センターとして、また灌漑に支えられた穀倉地帯として栄えますが、継続してタミル系王朝の侵攻を受けていました。紀元前769年には侵攻を避けるために南下したポロンナルワへ遷都しますが、その後もタミル系王朝による侵攻は弱まらず、1017年にはシンハラ王朝の王がチョーラ朝に捕らわれ、新たな都であるポロンナルワもタミル人総督の支配域に置かれることになりました。


アヌラーダブラには仏陀がその下で悟りを開いたという菩提樹の分木が植樹されています

11年間だけ利用された都:シギリヤ



3.ポロンナルワ時代 (1073~13世紀末)


 チョーラ朝の支配下に置かれたシンハラ王朝ですが、1073年にウィジャヤバーフ王がポロンナルワを奪還し、シンハラ王朝の再建を果たします。その後、彼の孫にあたるバラークラマバーフ王はスリランカを再び統一し、ポロンナルワの整備を進めます。灌漑設備を充実させて生産力を増し、また仏教寺院を数多く建設したことで、ポロンナルワは仏教の聖域として国外にまで知られるようになります。

当時のポロンナルワ中心部に建設されたワタダーゲ(円形の仏塔)

ガル・ヴィラーハの座像

 しかし12世紀末にはシンハラ王朝は勢力を失い、13世紀初頭には南インドのカリンガ朝によってポロンナルワを奪われ、シンハラ王朝は南西のダンバデニヤへ都を移します。その後もカリンガ朝との攻防を続けますが、シンハラ王朝は徐々に勢力を失って弱体化し、南部の街へと何度も遷都を繰り返していきます。ポロンナルワは13世紀末には完全に放棄され、以降1900年代に発掘が進められるまでジャングルに埋もれることになりました。



5.       動乱期(13世紀末~1505)


13世紀末にはセイロン島北端部のジャフナ半島にタミル人国家のジャフナ王国が成立し、14世紀半ばにはスリランカ南部にまで支配域を広めます。また、マルコポーロ、イブン・バットゥータがスリランカを訪れ記述を残したほか、明から鄭和が訪れています。

シンハラ王朝は鄭和の使節団の船を襲おうとしますが逆に王族を捕虜として捕らえられ、中国へ連行されます。明はその後王族をスリランカへ引き渡し、パラークラマ・バーフ6世を王として指定します。バラークラマ・バーフ6世は新たにコーッテ王国を建国、1450年にはジャフナ王国を支配下に置きスリランカを統一しますが、スリランカはその後30年間 明の朝貢国となりました。

また、1469年には別にウィクラマバーフがキャンディ王国を成立させており、コーッテ王国の支配下だったジャフナ王国も1479年に再び独立を果たします。後のポルトガル・オランダ・イギリスの植民地時代にはこのスリランカの3王国と侵略国との間での闘争が繰り広げられていきます。





 この後、1505年にポルトガルの商船がコロンボへ漂着し、コーッテ王国との協力体制のもと徐々にポルトガルの支配が全域に及んでいきます。ポルトガルの後もオランダ、イギリスと宗主国が変わるものの、スリランカは1948年のイギリスからの独立まで実に443年間という長期にわたって欧米諸国としての歴史を歩んでいきます。


Text by Okada

2020-06-19

スリランカの自然保護区サファリ③ミリッサとトリンコマリー


スリランカのサファリエリア紹介の第3弾です。最後となる今回では、陸上ではなく海のツアーをご紹介していきます。

 スリランカはホエールウォッチングサイトとしても世界的に有名です。国内にいくつかのウォッチングサイトがありますが、今回はその中でも主要なミリッサとトリンコマリーの2か所をご紹介します。


1回 前々回の記事はこちら
1.       世界遺産の森:シンハラジャ森林保護区
2.       ワールズ・エンドを訪ねる:ホートン・プレインズ国立公園
3.       レオパードの聖地:ヤーラ国立公園


2回 ★前々回の記事はこちら 
4.       スリランカ最大の国立公園:ウィルパットゥ国立公園
5.       スリランカ初のラムサール条約登録湿地:ブンダラ国立公園
6.       ゾウの野生復帰を目指す:ウダ・ワラウェ国立公園
7.       「エレファント・ギャザリング」の地:ミンネリヤ国立公園

3
8.       ホエールウォッチングサイト:ミリッサとトリンコマリー


■スリランカでのホエールウォッチング


クジラは回遊するため、季節によって主なサイトが異なります。今回紹介する2つのサイトではそれぞれ西側のミリッサでは114月・東側のトリンコマリーでは510月が観察のシーズンとなります。世界最大の生物であるシロナガスクジラを始め、マッコウクジラ、ハシナガイルカ、バンドウイルカ、ゴンドウイルカなど様々な鯨類を観察することができます。



■ミリッサ

 ミリッサはシロナガスクジラとの遭遇率が非常に高いエリアとして人気があります。西海岸に位置するミリッサは、スリランカの玄関口:コロンボから3時間弱、世界遺産の街:ゴールから40分程度とアクセスが良く、多くの観光客がクジラを求めて訪れるほかサーフィンビーチとしても有名で、リゾート地として賑わっています。

 シーズンは11月~4月頃、中でも1月以降がベストシーズンとなり、クジラとの遭遇率は約90%と言われます。ミリッサは世界有数のシロナガスクジラのウォッチングポイントとして知られており、運が良ければ、1回のクルーズで何頭ものシロナガスクジラを見ることができます。もともとこの海域には固定して暮らすシロナガスクジラの群れがいますが、そのほかにも回遊してくるシロナガスクジラやマッコウクジラ、稀にシャチも見ることができます。


視点の高い混載船でのクルーズ

テールアップ


【シロナガスクジラ – Blue Whale
シロナガスクジラ(白長須鯨、Balaenoptera musculus)は、現存する最大の動物種であるだけでなく、かつて地球上に存在した確認されている限りの恐竜や動物を含めても、あらゆる既知の動物の中で最大の種です。ミリッサでみられるものは小型のピグミーシロナガスクジラと呼ばれるものですが、それでも20mを超える姿は圧巻です。一度浮上するとまた潜水し、次に浮上してくるまでは15分ほど。ブロウイング(潮吹き)やテールアップ(潜水時に尾ひれを高く上げる動作)が見られた際には歓声が上がります。




西遊旅行スタッフの撮影映像


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ミリッサのホエールウォッチング、行って来ました!




■トリンコマリー

 スリランカ北東部に位置するトリンコマリーは東部海岸最大の都市。岬によって形成された天然の良港があり、その港を目的として植民地時代から諸外国に支配を受けてきた街でもあります。1983年から2009年まで続いた内戦時には一般の出入りは厳しく制限されていましたが、内戦終結後は一気に観光地として開発が進みました。

トリンコマリーはホエールウォッチングのほか、サンゴ礁でのダイビングやシュノーケリングのスポットとしても人気のあるエリア。また、スリランカの人口の約10%を占めるヒンドゥー教徒の聖地:コネスヴァラム寺院を始め、「ラーマーヤナ」に登場するランカ島の魔王ラーヴァナが掘ったとされるカンニヤ温泉、2000年以上の歴史を持つ仏教遺跡:ヴェルガム・ラジャ・マハー・ヴィハーラなどそのほかの見どころも揃っており、東部の観光地として国内外から注目を集めています。

トリンコマリーのシーズンは4月~10月頃ですが、3月~4月頃は回遊してくるマッコウクジラの群れを見ることができます。シーズンの中でも特に7月~8月はクジラやイルカを高確率で見ることのできるベストシーズンです。また、季節を問わずシロナガスクジラがやってくる他、一年を通じてニタリクジラも観察することができます。

フルークダウン


ミリッサと比べるとクジラの数が少ないとも言われますが、トリンコマリーはスリランカで最もビーチが美しいエリアと評されており、ホエールウォッチングと併せてダイビングやシュノーケリングを楽しめるのが大きな魅力です。沖合に位置するピジョン島では100種類以上の珊瑚礁や、300種類以上の熱帯魚が確認されており、美しい海でのダイビングやシュノーケリングを体験することができます。

Rainbow butterfly fish(ミスジチョウチョウウオ)

Text by Okada

2020-06-12

スリランカの自然保護区サファリ②


スリランカの主要な自然保護区の紹介2回目です。前回はシンハラジャ森林保護区、ホートン・プレインズ国立公園、ヤーラ国立公園の3つをご紹介しましたが、続いて4つの国立公園をご紹介します。



1回 ★前回の記事はこちら
1.       世界遺産の森:シンハラジャ森林保護区
2.       ワールズ・エンドを訪ねる:ホートン・プレインズ国立公園
3.       レオパードの聖地:ヤーラ国立公園


2
4.       スリランカ最大の国立公園:ウィルパットゥ国立公園
5.       スリランカ初のラムサール条約登録湿地:ブンダラ国立公園
6.       ゾウの野生復帰を目指す:ウダ・ワラウェ国立公園
7.       「エレファント・ギャザリング」の地:ミンネリヤ国立公園

3回(次回投稿)
8.       ホエールウォッチングサイト:ミリッサとトリンコマリー


4.スリランカ最大の国立公園:ウィルパットゥ国立公園


ウィルパットゥは面積1316㎢を誇るスリランカ最大の国立公園。「ウィル」は「自然の水」を表し、池、湖、湿地など無数の水場に恵まれています。

スリランカではヤーラ国立公園がレオパード観察で有名ですが、ここウィルパットゥもレオパードの生息数が多いことで知られます。そのほかにもナマケグマや水牛、サンバーなど31種の哺乳類が生息しています。また、北西部海岸に面しているため海辺の野鳥も観察できるのが特徴です。

道路上に現れたレオパード


スリランカの国鳥:セイロンヤケイ


 1983年から2009年まで26年間続いたスリランカ内戦の間は閉鎖されていたウィルパットゥ国立公園は、2010年から観光客の受け入れを開始しました。そのためホテルの設備など万全でない点もありますが、まだ訪問者が少なく静かな森で、ゆったりとサファリができる点は大きな魅力となっています。

 また、公園内ではスリランカの建国神話に関わるとされる遺跡も発見されています。シンハラ人の祖:ヴィジャヤ王子の妻であり、インドの『ラーマーヤナ』で登場するランカ島の王:ラーヴァナの子孫とされるヤクシャ族の女王:クヴェニに関する遺跡とされていますが、詳細な研究はされていないようです。


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5.スリランカ初のラムサール条約登録湿地:ブンダラ国立公園


ブンダラ国立公園はスリランカの南端に位置します。現在スリランカには全部で6つのラムサール条約登録湿地が存在しますが、ブンダラ国立公園は1990年に国内で初めてラムサール条約に登録された湿地です。乾燥した気候に対応する棘のある低木林、砂丘、塩田に加え、水深の浅い汽水の潟湖:ラグーンで構成され、このラグーンを求めて多くの野鳥が訪れます。

乾燥地を好むヒメツバメチドリ

湿地帯でツバメチドリを観察


 スリランカに飛来する野鳥のほとんどがブンダラ国立公園にも飛来すると言われており、特に冬季はスリランカ固有種を含む多くの野鳥がブンダラ国立公園を訪れ、バードウォッチングのベストシーズンとなります。希少種や絶滅危惧種も多く飛来し、また公園内では野鳥の保護活動も行われています。


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6.ゾウの野生復帰を目指す:ウダ・ワラウェ国立公園


ウダ・ワラウェ国立公園スリランカ南部内陸の低地に位置し、貯水池の建設時にその集水域確保と、住処を失っていた野生動物の保護のために保護区として設定されました。

ここには野生の定住ゾウが多く生息し、また「Elephant transit home」という野生のゾウの保護施設があることで知られています。「ゾウの孤児院」とも呼ばれ、親とはぐれてしまったり、事故でけがをしたりして保護が必要になった小ゾウを引き取り、育てています。


保護された子ゾウたち



Elephant transit home」の目的はあくまでも保護したゾウを野生の状態へ戻すことであり、そのために施設名称も「ゾウが(野生に帰るための)一時的に滞在する場所」という意味が込められています。

スリランカの象の保護施設というともう一つのピンナウェラ国立公園のものが有名ですが、ピンナウェラでは保護したゾウは寺院やゾウ使いに引き取られていくのに対し、ここウダ・ラワウェでは子ゾウを一時的に保護し、自然に返す取り組みというスタンスで活動しています。ゾウは5歳頃までが赤ん坊、8歳頃までが子供、15歳頃で成体となり生殖可能となりますが、ここではだいたい8歳になるまでの間にゾウを自然へ帰しています。


やがて自然へ帰るゾウが人間に慣れないよう、観光客は少し離れた席から観察します



 この「ゾウの孤児院」に来るゾウの多くはスリランカ内戦で埋設された地雷によって負傷したゾウ、又はその子供です。また子ゾウは非常に高額で取り引きされるため、金銭的利益のために密漁されており、そのために負傷するゾウもあり、親ゾウを密漁で奪われるケースもあります。

ゾウの生息密度の高いスリランカでは、農村の開発に伴い人間とゾウの生活範囲が重なることも多く、農作物を食べられたり、家屋を破壊されたりという軋轢が生じています。ウダ・ラワウェでは人間とゾウの共存できる社会の実現を目指し、地域住民と協力して取り組みを続けています。


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7.「エレファント・ギャザリング」の地:ミンネリヤ国立公園


ミンネリヤ国立公園はスリランカ中央部、世界文化遺産のシギリヤやポロンナルワの近くに位置しています。3世紀にマハセン王によって造営された貯水池を中心に8,885haの保護区が広がり、多くの野鳥が生息しています。

 ミンネリヤ国立公園は69月に150~最大で300頭ものゾウが訪れることで知られています。これは「エレファント・ギャザリング」と呼ばれ、スリランカ中央部が乾季に入り乾燥した結果、南東のワスガムワ国立公園のゾウ達が水場を求めてミンネリヤへ移動するものです。


水辺に集うゾウ

車のすぐそばで観察するチャンスも



 その年の降雨量や各公園の水の量によって時期やゾウの頭数は変化しますが、エレファント・ギャザリングのシーズンであればたくさんのゾウが見られるということで、他の世界遺産に近いことも重なり非常に人気のある国立公園の一つです。

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Text by Okada

2020-06-10

新型コロナウイルスの影響に関する外国人受け入れ再開準備のお知らせ


 いつもネイチャー・エクスプローラー・ランカをご利用いただき、誠にありがとうございます。

 新型コロナウイルス感染症により、罹患された方はもとより、不安が募る日々をお過ごしされている皆様へ、心よりお見舞い申し上げます。

 現在、新型コロナウイルス感染拡大の予防措置として、外国人旅行者のスリランカへの渡航が制限されております。

 2020年8月1日からの外国人の入国受け入れを再開するものとして、スリランカ観光局よりガイドラインの発表がございましたので、お知らせいたします。

(以下、6月9日更新)
●スリランカでは、2020年8月1日より個人・団体を含め全ての外国人の入国受け入れを再開します。

●入国の受け入れを予定している国際空港は下記の3空港となります。
 ・マッタラ・ラージャパクサ国際空港
 ・バンダラナイケ国際空港
 ・コロンボ  ラトゥマラナ空港

●現在、査証の発給は停止されていますが、新たに30日間有効・最大6か月まで延長可能なE-ビザ(ETA)の発給再開が予定されています。なお、発給の再開開始時期は未発表です。
 査証取得のためには、下記のものが必要となります。
 ・指定宿泊施設への予約証明書
 ・スリランカでの旅行日程
 ・復路分航空券
 ・新型コロナウイルス感染の陰性証明
  ※陰性証明はスリランカへの到着便の出発時刻の72時間前以降に取得したものが必要となります。

●空港到着後はPCR検査の受診が義務付けられています(無料)。
 ・検査後24時間以内に結果が通知され、結果通知まではコロンボまたはネゴンボ市内のホテルでの待機が必要となります。
 ・また、入国後4~5日後には2度目のPCR検査を指定宿泊施設にて行います。
 ・10日間以上滞在する外国人は3度目のPCR検査も必要となります。
 もしPCR検査にて新型コロナウイルスへの感染の陽性が確認された場合は、場合に応じて政府指定の専用の宿泊施設または医療施設にて14~21日間の待機が課せられます。

●国内の全ての観光施設は2020年8月1日より感染対策を取ったうえで営業を再開します。
 また、旅行者に対して国内での移動制限はありません。
 旅行に際する交通手段、現地旅行会社は指定宿泊施設と同様に事前の予約をし、公共交通機関は利用しないことが要請されています。

スリランカでは一部例外を除いてロックダウンが解除されたことに伴い、弊社も店舗での営業を再開しております。
営業時間は平日の10:00~16:00の短縮営業となります。

新型コロナウイルスを巡る状況についてはスリランカ政府の発表に応じてご案内させて頂きますが、
状況が落ち着いた時に皆様をすぐにお迎えできるよう、弊社スタッフ一同準備しております。ぜひお気軽にご相談ください。

一日も早く事態が収束し、スリランカにお住まいの皆様、スリランカ国民の皆様が日常生活を取戻せることを願っています。
また、自由に旅ができるようになる日を待望するとともに、皆様の無事を心より祈念いたします。

何卒、宜しくお願い致します。
ネイチャー・エクスプローラー・ランカ スタッフ一同

2020-06-05

スリランカの自然保護区サファリ①


 国土面積は北海道の80%ほどと小さなスリランカですが、地形やモンスーンの影響で島の北・中央・南部で気候が異なり、異なる植物相を基盤にして多様な野生動物が生息しています。400種以上の野鳥が生息し、スリランカの固有種だけでも30種を超えるこの地には、世界中から野鳥ファンが訪れています。

 もちろん野鳥のみならず、他にも多種多様な野生動物が生息するスリランカ。その国土の10%近い面積が国立公園や自然保護区に指定され、保全活動が行われるとともに重要な観光資源となっています。主要都市発のサファリツアーも人気があり、文化遺産と共にスリランカ旅行のハイライトを担っています。

 今回からの記事では7つの主要なサファリエリア、そしてホエールウォッチングサイトをご紹介します。各エリアの実際の訪問記事等も、当ブログ、また西遊旅行のブログ世界の野生動物観察日記 ワイルドライフの記事を紹介していきますので、ぜひご旅行のプランニングの参考にして頂ければ幸いです。


1
1.       世界遺産の森:シンハラジャ森林保護区
2.       ワールズ・エンドを訪ねる:ホートン・プレインズ国立公園
3.       レオパードの聖地:ヤーラ国立公園

2
4.       スリランカ最大の国立公園:ウィルパットゥ国立公園
5.       スリランカ初のラムサール条約登録湿地:ブンダラ国立公園
6.       象の野生復帰を目指す:ウダ・ワラウェ国立公園
7.       「エレファント・ギャザリング」の地:ミンネリヤ国立公園

3
8.       ホエールウォッチングサイト:ミリッサとトリンコマリー


1.世界遺産の森:シンハラジャ森林保護区


1988年に世界遺産に指定されたシンハラジャ森林保護区はスリランカ南部に位置する熱帯雨林。面積は88.64㎢と小規模ながら、全34種のスリランカ固有種のほぼすべてを観察できる、まさに野鳥の楽園として知られています。

樹高平均40mの鬱蒼としたジャングルが広がる公園内の60%の植物が固有種、またスリランカ固有種の哺乳類・蝶のうち50%以上が生息しており、スリランカを代表する固有種セイロンサンジャク、2004年に新種として紹介されたセレンディブコノハズク(仮称)、シンハラジャの森のみで観察されるセイロンバンケンなど特徴的な動物相が形成されています。

セレンディブコノハズク

セイロンバンケン


★世界の野生動物観察日記 ワイルドライフ シンハラジャ森林公園関連記事はこちら!



2.ワールズ・エンドを訪ねる:ホートン・プレインズ国立公園


 ホートン・プレインズ国立公園は、世界自然遺産に登録されている「スリランカの中央高地」に含まれ、丘陵地としてスリランカ唯一の国立公園です。標高2000m以上に位置しながら3つの川が流れる多湿なエリアであり、公園西側の丘陵部にはスリランカ最大の雲霧林が広がり、その環境に適応した固有の植物・動物を観察することができます。

 そして、ホートン・プレインズでの一番の見どころは「地の果て:ワールズ・エンド」と呼ばれる場所。直角に切れ落ちた落差1,000mの崖の上からの景色はまさに圧巻です。


ワールド・エンドでのパノラマ

 
 公園の管理事務所から約4km、緩やかなアップダウンの道を1時間ほど歩くハイキングコースが整備されており、ワールズ・エンドへの道のりの中でも動植物の観察を楽しむことができます。また天気がよければ、スリランカの4大宗教共通の聖地であるアダムス・ピークの頂も望むことができます。

 
スリランカの聖山 アダムス・ピーク

★訪問記事はこちら!


3.レオパードの聖地:ヤーラ国立公園

スリランカ南東部、インド洋海岸沿いに位置するヤーラ国立公園は面積979㎢と国内2番目の規模を誇り、世界一のレオパード密集地として知られています。

樹上で休息するレオパード


 モンスーンによってもたらされる淡水、そして海洋性の湿地からなる公園内では豊かな自然体系が残されています。1900年から野生動物保護区として保護が始まった後、1938年にはウィルパットゥ国立公園と共にスリランカ初の国立公園として指定されました。現在ではレオパード観察の聖地として、スリランカの一大サファリ観光地となり、多くの観光客が訪れています。

 5ブロックに分けられた公園内のうち、一般に訪問されるブロック1では2014年の調査で59頭が確認され、2017年はじめには9頭の子供が誕生しています。そのほかにも215 種の野鳥(うち6 種は固有種)、哺乳類はアジア唯一のジャッカルであるゴールデンジャッカルを含め44 種の棲息が確認されており、レオパードを探すサファリツアーの中でも多種多様な野生動物の観察を楽しむことができます。

アクシズシカ



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Text by Okada