2016-07-20

ダンブッラ、湖のほとりにあるリゾートホテル「アマヤレイクホテル」

アーユボワン!(シンハラ語でこんにちはの意味です。)
今回は世界有数の大遺跡が残るアヌラーダプラ、ポロンナルワ、キャンディの3都市を結ぶ文化三角地帯にあるアマヤレイクホテルをご紹介致します。

ホテルはシーギリヤとダンブッラの中間にあります。
ダンブッラの街から車だと約40分ほどで到着します。



ホテルはこのような自然に囲まれています。
デラックスホテルの快適さとスリランカらしさが融合されたホテル

アマヤレイクホテルのコンセプトはスリランカの伝統文化です。
お客様が到着すると、民族音楽のドラム演奏で迎えます。
他にも土壁など地元の建材を用いた伝統的なコテージがあります。

トロピカルな色使いのファブリック。

緑に囲まれたプライベート空間

客室は全室個室のコテージタイプのヴィラでプライベート感があります。
ヴィラのタイプは4種類あります。
グレードが上がるほど、お部屋やベッドが大きくなります。
スイートルームには広々としたプライベートプールや簡易キッチンまであります。
また、どのお部屋もたくさんの自然に囲まれています。風通しが良く、鳥の声や、木の葉が風に吹かれる音が聞こえてきます。
ヴィラを出るとそこは、まばゆい緑がいっぱいです。歩くだけで森林浴ができます。
早朝の霧がかかった穏やかなカンダラマ湖周辺の散歩は心が落ち着きます。

すっきりと清潔な客室です。
木製の家具と温かみのある照明が落ち着きます。

開放的なダイニングで自家製野菜を使った料理を!

ダイニングは高い天井にエレガントな照明、それに心地の良い音楽が流れています。
野菜は全て敷地内の畑で作られた自家栽培のものが使われています。
レストランの一押し料理に、湖で取れた魚に自家製野菜とガーリッククリームとレモンを詰め込んでマリネしたものがあります。

ガーデンのグリーンと柱の黄色がマッチングしています。
自然のど真ん中にあるホテルだからできるアクティビティ

様々なアクティビティにも参加可能です。
テニスコートでテニスやプールで泳ぐことはもちろん。
牛車に乗って辺りを散策したり、エレファントサファリで森林浴したりもできます。
また、ホテルの周りの自然には色々な種類の鳥が生息しており、バードウォッチングでは美しい鳥たちを見ることができます。よく見られる鳥は、白鷺、明るいエメラレルド色のオオホンセイインコ、美しい青い鳥ブルーヒタキなどが見られます。

アーユルヴェーダ専用のスパがあり、トリートメントが充実しています。
フェイシャルトリートメント、ボディトリートメント、マッサージがあります。施術はオープンエアーなお部屋で、周りの熱帯植物の香りや匂いを感じながら受けることができます。

カンダラマ湖畔にホテルはあります。湖周辺の散歩も楽しめます。
シーギリヤロックを登った後やダンブッラの遺跡を巡った後に、ここアマヤレイクホテルで疲れた体を癒してみてはいかがでしょうか。

Text by Ayana Alles

2016-07-08

洞窟の中にお寺!?ダンブッラ石窟寺院(後編)


前編では5つある洞窟のうち2つ目までご紹介いたしました。
今回は残りの3つについてご紹介いたします。

第3窟から第5窟は18世紀から20世紀に造られたり、修復されたりしている新しい窟です。

石窟は第1窟から第5窟へと古い順に並んでいます。

第3窟 マハー・アルト・ヴィハーラ

「偉大な新しい寺」という意味の名前がついた第3窟。
18世紀にキャンディ王朝のキルティ・スリ・ラジャシンハラ王によって造られました。
57体もの仏像があり、その中には全長9mの涅槃仏もあります。

第3窟に並ぶ仏像。ここでも岩肌には壁画が描かれています。

第4窟 パッツィーマ・ヴィハーラ

第3窟までに比べると規模が小さい窟です。
キャンディ王朝(1469年〜1815年)の末期に造られた比較的新しいもので、10体の仏像が安置されています。
中心には洞窟と繋がった岩を掘ってできたブッダ座像があります。


第5窟 デワナ・アルト・ヴィハーラ

最も新しい窟です。1915年に造られましたが、誰が造ったのかははっきりしていません。黄金色の寝仏の他に、ヒンドゥーの神であるムルガンことカタラガマやヴィシュヌ、地元の守護神デゥァータ、バンターラの各神像が並んでいます。

時代とともに修復が繰り返されてきた極彩色の仏像。

拝観マナーについて

厳粛な気配が漂うダンブッラ石窟寺院。
世界遺産であるため、世界中から多くの観光客が訪れる観光地である一方で、地元の多くの仏教徒にとっては大切な聖地です。
そのため、拝観マナーについては気を付けたいものです。
特に写真撮影には注意が必要です。仏像のみを写真に収めるのは問題ありません。しかし、記念撮影を目的に仏像に背を向けて一緒に写真を撮るのは厳禁です。一緒に撮りたい場合は仏像に手を合わせているようにしましょう。

また、スリランカの仏教寺院では白い服を着てお参りに来る習慣があります。白は清浄さの象徴とされていることからです。真っ白の服装でなくても、白の割合の多い服装での参拝をお勧めします。
寺院内は土足厳禁のため靴下か裸足になります。

歴代の王に保護されてきたダンブッラ石窟寺院。ひんやりとした洞窟の中には穏やかな静けさと神聖な空気が満ちています。しばし、この空間に身を置いてみてはいかがでしょうか。

Text by Ayana Alles

2016-07-04

洞窟の中にお寺!?ダンブッラ石窟寺院(前編)

世界遺産・ダンブッラ石窟寺院の歴史

スリランカ中央部、文化三角地帯の中にあるダンブッラ。
小さな町ですが、ここにはスリランカ最大の石窟寺院があります。

この寺院の始まりは紀元前1世紀。シンハラ王のワラガムバーフによって建てられました。
王は、タミル軍の侵略によって、当時首都であったアヌラーダプラから追放されました。その際、ここダンブッラの高さ200m近い岩山の洞窟に身を隠していましたが、戦に勝ち、再び王の座に戻りました。それを記念して隠れ場所であったこの地に寺院が建てられたのです。

その後、寺院は増築が繰り返され、スリランカを代表する仏教寺院へと発展しました。1991年には世界遺産に登録されています。

寺院まではこのような階段を上っていきます。
15~20分ほど登ると寺院入口に到着します。

石窟は5つに分かれています。前編では第1窟と第2窟をご紹介いたします。

最古の洞窟に寺院最大の本尊仏

第1窟は紀元前1世紀に造られた、もっとも古い石窟です。また、最も大きな涅槃像があり、その大きさは全長15mもあります。この涅槃像は、足の裏が真っ赤なのが特徴です。これには、釈迦が赤土を地を歩いてスリランカまでやってきたからだという説があります。

つま先が少しずれていることが涅槃仏のお姿を現します。
自然石に彫られた涅槃仏が横たわっています。
第1窟には「デーワ・ラージャ・ヴィハーラ」という名前が付いています。意味は『神々の王の寺』です。
窟内にヒンドゥー教の神、ヴィシュヌも祀られており、これが洞窟の名前の由来になっています。

ヴィシュヌ寺院、入り口。
圧巻の壁画と聖水がある第2窟

第2窟は幅52m、奥行き25mでダンブッラ最大の洞窟です。
壁や天井一面に描かれた壁画が見事です。ブッダの生涯、スリランカの歴史がびっしりと描かれていて総面積は2100平方メートルにも及びます。

仏教絵巻が岩肌一面に描かれています。
壁画は古いですが、保存状態が良いので、この様にはっきり見られます。
洞窟内の奥に天井から湧き水が滴り落ちています。
雫の落ちるところには壺が置かれています。岩山の頂上にもかかわらず絶えず雫が落ちています。そうして貯まった壺の中の水は聖水とされ、重要な儀式の際にのみ僧が飲みます。
この水を飲むと何も食べなくても過ごせるのだそうです。
ちなみにダンブッラとは「水の湧き出る岩」という意味で、ここが名前の由来になっています。

石の囲いとフェンスで守られる聖水。
56体もの仏像が安置されています。

後編では第3窟から第5窟をご紹介いたします。

Text by Ayana Alles

2016-06-28

最古の聖都アヌラーダプラ(後編)

アヌラーダプラ最古の寺院、イスルムニヤ精舎

アヌラーダプラの繁栄を支えた貯水池、ティッサ・ウェワのほとりにイスルムニヤ精舎があります。
岩肌に造られているので「ロックテンプル」と呼ばれています。
御堂が岩肌を掘るように造られています。岩の上にはダーガバ(大塔)があります。
本堂には色鮮やかな涅槃仏があります。
この仏像の色の塗り替えには、東京の浅草寺が援助しました。

イスルムニヤ精舎入口。前編でご紹介したガードとムーンストーンがあります。

横たわる仏像は、入滅し涅槃に入って輪廻から解放されたことを表しています。

王子と乙女の身分を超えた恋

本堂には宝物殿が併設されています。そこに、ある男女の像があります。
この像にまつわる古代のラブストーリーがあります。
スリランカの年代記である「マハーワンサ」によると、紀元前2世紀、当時の王ドゥッタガーマニーの王子サーリヤが乙女のマーラと恋に落ちました。しかし、身分の低いマーラとの結婚は許されません。王子は周囲の反対を押し切り、愛を貫き通しました。
そして王位の座を自ら絶ったのでした。
石造の中の二人は仲良く寄り添い、永遠の愛を誓い合っているかのように見えます。石造はその名も「恋人の像 The lovers」と呼ばれています。

乙女マーラは美貌の持ち主でした。
家族になったサーリヤとマーラの石造

もう一つ「王族の像 The Royal Family」という石造があります。
こちらはサーリヤ王子とマーラの結婚後を表したものです。
中央にいるのが王のドゥッタガーマニーとその妻で、王の左側にサーリヤ王子。
マーラは身分が低かったので、王の妻の側にひっそりと彫られています。

「王族の像 The Royal Family」5~8世紀に作られたものです。

アヌラーダプラのアイコン、ルワンウェリ・サーヤ大塔

ドゥッタガーマニー王の時代、紀元前2世紀に建設が始まったルワンウェリ・サーヤという大塔があります。王が生きている間に完成にはならず、息子のサッダーティッサ王子が父の意志を継いで完成させました。
ダーガバは水疱型で純白色をしています。
そびえ立つルワンウェリ・サーヤ大塔は高さが55mです。その姿がバスや列車の窓から見えるとアヌラーダプラの到着を知らせます。

ルワンウェリ・サーヤ大塔から続く石畳はスリー・マハー菩提樹に続いています。
スリランカ仏教にふれるため、アヌラーダプラの遺跡巡りをしてみてはいかがでしょうか。

Text by Ayana Alles

2016-06-14

最古の聖都アヌラーダプラ(前編)

紀元前より栄えた王朝都市

アヌラーダプラは、今からおよそ2400年前にスリランカの都が置かれた場所です。
紀元前3世紀にインドより仏教がもたらされたことがきっかけに、多くの仏教寺院がこの地に建立されました。今なお当時の遺跡が残るアヌラーダプラの見所をご紹介致します。

アヌラーダプラのシンボル。ルワンウェリ・サーヤ大塔。


聖なるスリー・マハー菩提樹

インドの東部にある聖地ブッダガヤには、釈迦がその木陰で悟りを啓いたとされる菩提樹の木が残されています。
インドからスリランカに仏教が伝わった際、この菩提樹の分け木も一緒に伝わりました。
その菩提樹は、今ではすくすくと成長してスリー・マハー菩提樹(シンハラ語でスリー=「聖なる」マハー=「偉大なる」意味します)として巡礼者に崇拝されています。この地を聖地として強く位置付ける存在です。

豊かに生い茂るスリー・マハー菩提樹。
寺院の入口から伸びた枝が迎え入れてくれる様です。樹齢は2000年を超えています。
輪廻転生を表すムーンストーン

スリランカの遺跡にはムーンストーンが多く見られます。
ムーンストーンとは寺院や仏塔の入口に敷かれている半月型のレリーフのことです。
参拝者は裸足でムーンストーンの上を歩き、足を清めます。
スリランカ発祥の美術作品ですが、インドの仏教寺院でも見られます。
その中でもアヌーラダプラにある王妃の建物跡、クイーンズ・パビリオンのムーンストーンは最も美しい事で有名です。
ムーンストーンには輪廻転生が4種類の動物で表現されています。
4種類の動物とは象、馬、ライオン、牛。それぞれ生病老死を表しています。
内側には花をくわえたアヒルがいます。汚い池でも清らかな姿で生きていることから「純潔」を表しています。ここで人は命を持つことの意味を知ります。
そして最後に天国を意味している中心の蓮の花にたどり着くことが表されています。


シンハラ語ではサンダカダパーナ。形が半月型のため英語のムーンストーンと呼ばれています。

スリランカで最も美しいガードストーン

寺院の入口に門番のように立っているガードストーン。
悪魔の侵入を防ぐ役割をしていました。
両サイドに置かれていて、日本の寺院の山門のある阿吽像の様です。
ガードストーンはムーンストーンと同様にスリランカの遺跡では多く見られます。
かつて石の宮殿があったとされている跡地、ラトゥナ・プラサーダの入口にあるガードストーンはスリランカ随一の傑作品と言われています。
王の姿が立体的に彫られており、右手に吉祥を意味する壺、左手には繁栄を意味する花を持っています。背後はコブラに覆われています。

足元にいるのは富の神クベラの使い。

かつての僧侶たちの沐浴場 

修行していた僧侶たちの沐浴場となっていたのがクッタム・ポクナというところです。
今は緑色に濁った水が張られたままですが、当時は近くの池からパイプで水を引いていたそうです。また、沐浴後は水田にその水を流していたそうです。

かなりの広さから、多くの僧侶が居た事がうかがえます。

 後編ではアヌラーダプラに伝わる王子と娘の許されないラブストーリーにまつわる遺跡をご紹介致します。

Text by Ayana Alles

2016-06-06

仮面の街アンバランゴダ

伝統工芸品を守るアンバランゴダ
スリランカの工芸品、仮面が多く作られている町が西南部にあります。
コロンボより南へ下ったところにある、アンバランゴダからゴール、ミリッサにかけての海岸地帯に集中しています。
その中でもアンバランゴダは仮面の町として知られています。
アンバランゴダは海岸地帯でもマリンスポーツ設備があるようなリゾート地ではありません。目立つ建物も特にない、小さな漁業の町です。
しかし、町中いたるところに『MASK』の看板が目に付きます。
それもそのはず仮面を作る工場や店の数がスリランカ一。中心地には仮面博物館があり、多くの観光客が訪れています。
仮面博物館の入り口。
仮面の謎を解き明かす仮面博物館
仮面博物館では伝統的な仮面の展示と解説が行われています。
中は8畳ほどの部屋が2つあります。
仮面劇で使われる仮面の展示の部屋と、悪霊払いの儀式で使われる仮面の展示の部屋です。
先のブログ記事『古来から伝わるスリランカの仮面舞踊では』でご紹介したマハーサムマタ大王とその王妃の展示や、トゥィルで使用される病魔の悪霊の仮面マハーコーラ・サンニヤカーの展示もあります。
入場料は無料ですが、寄付箱が用意されています。
悪霊コーナー。真ん中が病魔の酋長。他にも盲目や悪夢の悪霊などもいます。
古代からの手法で作られる仮面、その方法とは
この博物館「ARIYAPALA SONS」では次の様に仮面が作られています。
仮面の材料はマチンというインド原産の木。シンハラ語で『KADURY』と呼ばれています。
マチンは軽くて軟らかいので彫りやく、仮面の生産に適しているのです。
まず木の幹部分に仮面の基本の形を木槌で彫ります。
掘られた仮面はDum Messaと言われる火床に6~7日間置かれます。
害虫からの被害を防ぐための伝統的な手法です。
火床から出た後は、仮面の様々なタイプに合わせた表情が掘られて徐々に成形されます。
次に仮面の色付けに入ります。すべての仮面は最初に表面を薄い黄色に塗られます。
続いて、彫刻家の先人が残した古代写本に従って色を加えていきます。
また、塗料には『Dorada Oil』という色の耐久性を強くする油が混ぜられています。
そして、独自の色味で仮面の顔立ちの特徴が描写されます。
鮮やかな色使い。一つ一つ手作りです。
所狭しと並んでいます。
仮面の購入、制作の見学も可能です!
2階には仮面ショップがあります。品揃えは豊富で大小様々なサイズがあります。
買って帰れば、スリランカに来た記念になります。
また、仮面の工房が併設されていて、実際に職人たちが仮面を製作しているところを見学できます。
仮面について見て、聞いて、その不思議に迫ってみませんか?

Text by Ayana Alles

2016-06-03

古来から伝わるスリランカの仮面舞踊とは

スリランカ旅行のお土産として人気のある仮面。
鳥のような動物の仮面から強面のものまで。そんな仮面を使った舞踊についてご紹介いたします。
まるで道化師のようで、どこかコミカルな動きをします。
コロンボより南に2時間ほど下った西南部の海岸地帯では、仮面舞踊が盛んに行われています。舞踊は大きく分けてコーラムというものとトウィルという2種類があります。
2つの仮面舞踊は対照的な気質をもっています。

人々の娯楽として人気の仮面劇『コーラム』
新年や祝い事の時などに行われる仮面劇。ショー気質が強く、見る者を楽しませます。
コーラムが始まったとされる伝承があります。
昔伝説の大王マハー・サムマタの王妃マハー・サムマタ・デヴィがいました。
王妃は懐妊した時に、未だかつて見たことのない舞踊を見たいと言い出しました。
当時、女性の妊娠中に生じた欲望は悪霊の仕業と考えられていました。
これを叶えないと災いが振りかかるので、王は全国にふれを出して芸人を集めました。
しかし王妃の目に叶うものはいませんでした。
王が苦悩して病に倒れているところ、工芸の神であるヴィシュバカルマンが宮殿の庭に仮面一式をもたらしました。
その仮面を用いて踊られた舞踊が王妃の心を満たしました。
以後、見世物としてコーラムが執り行われるようになりました。
今でもコーラムが演じられる際には必ずサムマタ王とデヴィ王妃は重要人物として登場します。
使用されている仮面はお土産屋で購入することもできます。
インテリアとして室内に飾ることもできます。
こちらはスリランカレストラン「カラピンチャ」の店先に飾られている仮面。
呪術のような悪霊払いの『トウィル』
トウィルは病気を治すための悪霊払いの儀式です。
公でやるものから、ごく内輪で内密に、個人を中心として行われるものと幅広くあります。
悪霊払いの際に使われる仮面で有名なものは、マハーコーラ・サンニヤカー(病魔の酋長)。マハーコーラ・サンニヤカーはコレラ、伝染病、狂気、盲目などの18の病魔を従えています。頭にはコブラの冠をかぶり、口には鋭い歯で人間をくわえています。
マハーコーラ・サンニヤカーが出てくる儀礼では、まず油物や肉など不浄とされるものが供物として、この悪霊に与えられます。
次に患者の体から出て行くように交渉が行われる内容が舞踊で表現されます。
最後に悪霊は説得に負け供物をむさぼり食べ、引き上げることで儀式が終わります。
トゥィルで使われる仮面はコーラムのものとは違って、人に見せないようにします。
部屋の中に置いていたら悪魔が呼び込まれて家族が病気になると信じられています。
お土産屋でも並ぶことは、ほとんどありません。
博物館に展示されている悪霊の仮面。
次回はこれらの仮面が作られている町をご紹介いたします。

Text by Ayana Alles