2016-05-02

孤高の王の城跡シーギリヤ・ロック

スリランカは小さな島国ですが、世界遺産に登録された史跡や自然保護区が8つもあります。
中でも中央部シーギリヤのジャングルの中にそびえ立つ巨岩「シーギリヤ・ロック」は
国中、世界中から人々が訪れる人気の世界遺産です。

シーギリヤ・ロック
ジャングルの中に浮かぶ天空の城ができるまで
シーギリヤ・ロックの頂上には、かつて狂気の王と呼ばれた王の宮殿がありました。
王がなぜ狂気の王なのか、なぜこんな所に宮殿を建てたのかは次の通りでした。
5世紀の後半、宮殿を建てたのはカーシャパ王でした。
カーシャパは父王ダートゥセーナの長男ではありましたが、母親が平民の血筋でした。
それに対して弟モッガラーナの母親は王族の血筋の女性でした。
そのため、弟の母親が王の正妻とされ、王位継承権はモッガラーナにあるとされていました。
そこで、カーシャパ王は王座を奪うために父に恨みを持つ家臣と共謀し、父を生きたまま壁に塗り込めて殺してしまいました。
こうして王位についたカーシャパ王ですが、父を殺してしまった自害の念にかられるようになりました。
そこで父の供養の為、かつて父が宮殿を築こうとしていたシーギリヤ・ロックに、宮殿を完成させて移り住むことにしました。それはモッガラーナの復讐から身を守るためでもありました。
しかし11年後、モッガラーナが大軍を率いて戦いを挑んできました。それに破れたカーシャパ王は自ら喉をかき切り命を絶ちました。
11年間の天下はこれにて幕を閉じたのでした。
王都として置かれた期間は短いですが、カーシャパ王はその間、苦悩の日々と孤独に過ごしたことでしょう。

頂上からの眺め。王は弟が迫り来るのが見えたことでしょう…。
険しい階段を登り切ればそこは絶景
頂上手前にはライオンテラスと呼ばれる広場に、巨大な爪のゲートがあります。
宮殿への入り口です。伝説では当時はライオンの頭部まであったとあります。
大きな爪は、まるでこちらを威嚇しているようです。

頂上までは急な傾斜面にへばりついた階段を登ります。細々としていてスリリングです。
頂上までの階段は1000段以上あります。

頂上の面積は1.6ヘクタール。宮殿跡には階段や沐浴場、見張り台等の遺跡が綺麗に残っています。
王のプール。

頂上からの景色はアヌラーダプラ、ポロンナルワ、キャンディを結んだ文化三角地帯を360度パノラマビューの絶景です!
景色を楽しみながら、王の境地に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
天気の良い日はアヌラーダプラの仏塔まで見られます。

風の音以外、何も聞こえてきません。こんな寂しいところで王は何を思ったのか…。
スリランカの国獣、スリランカオオリスに出会えることも。

さて次回はシーギリヤ・ロックの見所シギリヤレディをご紹介いたします。

Text by Ayana Alles