2020-06-05

スリランカの自然保護区サファリ①


 国土面積は北海道の80%ほどと小さなスリランカですが、地形やモンスーンの影響で島の北・中央・南部で気候が異なり、異なる植物相を基盤にして多様な野生動物が生息しています。400種以上の野鳥が生息し、スリランカの固有種だけでも30種を超えるこの地には、世界中から野鳥ファンが訪れています。

 もちろん野鳥のみならず、他にも多種多様な野生動物が生息するスリランカ。その国土の10%近い面積が国立公園や自然保護区に指定され、保全活動が行われるとともに重要な観光資源となっています。主要都市発のサファリツアーも人気があり、文化遺産と共にスリランカ旅行のハイライトを担っています。

 今回からの記事では7つの主要なサファリエリア、そしてホエールウォッチングサイトをご紹介します。各エリアの実際の訪問記事等も、当ブログ、また西遊旅行のブログ世界の野生動物観察日記 ワイルドライフの記事を紹介していきますので、ぜひご旅行のプランニングの参考にして頂ければ幸いです。


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1.       世界遺産の森:シンハラジャ森林保護区
2.       ワールズ・エンドを訪ねる:ホートン・プレインズ国立公園
3.       レオパードの聖地:ヤーラ国立公園

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4.       スリランカ最大の国立公園:ウィルパットゥ国立公園
5.       スリランカ初のラムサール条約登録湿地:ブンダラ国立公園
6.       象の野生復帰を目指す:ウダ・ワラウェ国立公園
7.       「エレファント・ギャザリング」の地:ミンネリヤ国立公園

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8.       ホエールウォッチングサイト:ミリッサとトリンコマリー


1.世界遺産の森:シンハラジャ森林保護区


1988年に世界遺産に指定されたシンハラジャ森林保護区はスリランカ南部に位置する熱帯雨林。面積は88.64㎢と小規模ながら、全34種のスリランカ固有種のほぼすべてを観察できる、まさに野鳥の楽園として知られています。

樹高平均40mの鬱蒼としたジャングルが広がる公園内の60%の植物が固有種、またスリランカ固有種の哺乳類・蝶のうち50%以上が生息しており、スリランカを代表する固有種セイロンサンジャク、2004年に新種として紹介されたセレンディブコノハズク(仮称)、シンハラジャの森のみで観察されるセイロンバンケンなど特徴的な動物相が形成されています。

セレンディブコノハズク

セイロンバンケン


★世界の野生動物観察日記 ワイルドライフ シンハラジャ森林公園関連記事はこちら!



2.ワールズ・エンドを訪ねる:ホートン・プレインズ国立公園


 ホートン・プレインズ国立公園は、世界自然遺産に登録されている「スリランカの中央高地」に含まれ、丘陵地としてスリランカ唯一の国立公園です。標高2000m以上に位置しながら3つの川が流れる多湿なエリアであり、公園西側の丘陵部にはスリランカ最大の雲霧林が広がり、その環境に適応した固有の植物・動物を観察することができます。

 そして、ホートン・プレインズでの一番の見どころは「地の果て:ワールズ・エンド」と呼ばれる場所。直角に切れ落ちた落差1,000mの崖の上からの景色はまさに圧巻です。


ワールド・エンドでのパノラマ

 
 公園の管理事務所から約4km、緩やかなアップダウンの道を1時間ほど歩くハイキングコースが整備されており、ワールズ・エンドへの道のりの中でも動植物の観察を楽しむことができます。また天気がよければ、スリランカの4大宗教共通の聖地であるアダムス・ピークの頂も望むことができます。

 
スリランカの聖山 アダムス・ピーク

★訪問記事はこちら!


3.レオパードの聖地:ヤーラ国立公園

スリランカ南東部、インド洋海岸沿いに位置するヤーラ国立公園は面積979㎢と国内2番目の規模を誇り、世界一のレオパード密集地として知られています。

樹上で休息するレオパード


 モンスーンによってもたらされる淡水、そして海洋性の湿地からなる公園内では豊かな自然体系が残されています。1900年から野生動物保護区として保護が始まった後、1938年にはウィルパットゥ国立公園と共にスリランカ初の国立公園として指定されました。現在ではレオパード観察の聖地として、スリランカの一大サファリ観光地となり、多くの観光客が訪れています。

 5ブロックに分けられた公園内のうち、一般に訪問されるブロック1では2014年の調査で59頭が確認され、2017年はじめには9頭の子供が誕生しています。そのほかにも215 種の野鳥(うち6 種は固有種)、哺乳類はアジア唯一のジャッカルであるゴールデンジャッカルを含め44 種の棲息が確認されており、レオパードを探すサファリツアーの中でも多種多様な野生動物の観察を楽しむことができます。

アクシズシカ



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Text by Okada