2015-11-25

茶園の島ができるまで

よく「旦那さんはどちらの出身ですか?」と聞かれ「スリランカです。」と答えると
だいたい「あぁ〜!紅茶で有名なスリランカ!」と言われます。
確かに、スリランカの紅茶は輸出量が世界第1位で主要産業です。
なのでスリランカといえば紅茶の国と知られているのですが
そうなるまでの裏側には、ある人物達の功績があります。

セイロンティーの父、ジェームス・ティラー

ジェームス・ティラー

スコットランド出身のジェームス・ティラーは
16歳で祖国よりスリランカに渡り、コーヒー園で働きました。
当時スリランカで盛んだったのは、紅茶ではなくコーヒー栽培だったのです。
その後、コーヒーの葉の病気である「サビ病」が流行り全滅しました。
それを機にジェームス・ティラーはインドで茶栽培を学んでスリランカに帰国。
見事、紅茶の葉の栽培に成功し、自ら揉念機をデザインしたり
当時はまだなかった紅茶工場までも作り上げました。
そうしてできた茶が英国の紅茶市場で高く評価され
セイロンティーが世界に広く渡って行きました。
彼は生涯独身で紅茶栽培に人生を捧げたので「紅茶と結婚した男」とも呼ばれています。
キャンディとヌワラ・エリヤの間らへんにあるルーラコンデラ茶園の入り口にはジェームス・ティラーの銅像があります。


黄色いラベルのリプトンの生みの親



トーマス・リプトン


スコットランド生まれのトーマス・リプトンは1890年にスリランカ(当時はセイロン島)にやってきました。中央山脈の東側のウバ州での紅茶用農園の投資に大成功しました。
当時、紅茶は量り売りされていたのを袋詰めにして価格も下げて売り出しました。
その結果、中流階級以上が飲んでいた紅茶を労働者階級でも飲めるようになり、大流行しました。

こうしてコロンボ港から輸出されてセイロンティーは世界的に有名になりました。

現在、年間の生産量はおよそ30万トン。
そのうちの9割は輸出されていて、総輸出額は毎年約15億ドル程度で
スリランカ経済の強みになっています。
スリランカの面積は日本の北海道と同じくらいですが
その中に茶園の数が実に700か所以上もあります。
今やまさに茶園の島なのです。

text by Ayana Alles


2015-11-12

占星術と宝石の深い関係

世界に名高い、宝石の国スリランカ

スリランカはダイヤモンドとエメラルド以外なら
ほとんどの宝石が採れる宝石産出国です。
もっともサファイアが有名で英国のケイト妃がウィリアム王子から贈られた婚約指輪にはスリランカで採れた18カラットのブルーサファイアが用いられています。

スリランカの中でも代表的な宝石の産地が
その名も『宝石の都』という意味の町、ラトゥナプラです。
(スリランカの公用語のシンハラ語でラトゥナが宝石、プラが都です)
スリランカ中央丘陵地帯の南西の盆地にあります。
町には宝石に関する博物館が3つもあります。
また発掘場が市街地を離れたところで、いたるところで見られます。
宝石の地下の砂利層から採れるため、その発掘方法は、井戸を掘り
そこへザルを投げ込み、引き上げられたいっぱいの土を大きなザルに移し替えて、プールのようなな洗い場で洗います。ザルの中に残った一つ一つの小石を調べるのです。

スリランカでは宝石を身につけることで、石を通してパワーが体に注入されると信じられています。なので石を指輪やネックレスにして身につけます。
スリランカの人々にとってのジュエリーは
着飾るためよりもお守りであることが多いのです。
しかし、どんな石でも良いというわけではありません。
自分にあったマイパワーストーンでなければなりません。
マイパワーストーンは自分で選ぶのではなく、占いによって選んでもらうのです。

占星術でわかるマイパワーストーン

星廻りに基づく統計学で行う占星術で占われます。
スリランカでは子供が生まれると占星表(ハンダナ)が
生まれた日と時間によって9惑星の位置を基準にして作られます。
これによって性格や一生涯の運勢
また結婚相手の相性までがわかると信じられています。
その占星表に基づいた占いで避けたほうが良い星の影響や、パワーがもらえる石がわかるというのです。
そして選ばれた石を使ってアクセサリーにするといった具合です。

こちらは私の旦那の金運アップのために作ってもらった指輪です。いつも必ず指につけています!


旅行者でも生年月日、生まれた時間と場所を伝えれば占ってもらうことが可能です。また強めたい運を伝えて石を選んでもらうこともできますよ。
スリランカで自分にあった開運アクセサリーを作ってみませんか?

photo&text by Ayana Alles

2015-11-09

雛人形が置いてあるコロンボの場所

スリランカで1番の大都会であるコロンボに、ある人物の資料館があります。
その人物が日本と深く関わりがあった為、雛人形が飾られているのです。
他にも掛け軸や兜も飾られています。
その人物とはスリランカ(当時セイロン)の第2代大統領
ジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナです。


ジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナとは・・・

セイロンの最高裁判所判事の11人兄弟の長男であったジャヤワルダナ氏。
コロンボ法科大学を優秀な成績で卒業し、法律家になった後にセイロン国家機構の活動家になりました。その後1947年に初代蔵相として入閣。

今の日本があるのもジャヤワルダナ氏のおかげと言っても過言ではありません。

(C)Anuradha Dullewe Wijeyeratne

その理由は第二次大戦後の1951年サンフランシスコ講和会議でのことです。
敗戦国である日本が多くの国から莫大な賠償を請求されました。
被害を受けた国々が日本を非難していた中
同じく日本から被害を受けたセイロンの代表として参加していたジャヤワルダナ氏が
以下の仏陀の言葉を用いて、非難するのではなく、日本の自由と独立を訴える演説を行いました。

「Hatred ceases not by hatred but by love」
(人はただ愛によってのみ憎しみを超えられる。人は憎しみによって憎しみは超えられない。)
我々は権利を行使するつもりはありません。我々も憎しみを忘れようではありませんか。

この様に日本に対する賠償請求を放棄する旨の演説を行い
各国の賛同を得て、日本が国際社会に復帰できる道筋を作ったのです。

更には大の親日家のジャヤワルダナ氏は官僚、首相、大統領として度々訪日していました。
政界引退後も日本を訪れています。また日本の仏教関係者や皇太子ご夫妻(今の天皇皇后両陛下)をスリランカに招くなど精力的に交流を行っていました。

1966年、亡くなった後も
「右目はスリランカ人に、左目は日本人に」
との遺言により片目の角膜を日本に寄贈されるほど、日本を愛してやまない人でした。

そんな日本とスリランカの友好関係を築いた
ジャヤワルダナ氏の資料館を訪れてみてはいかがでしょうか。

J.R.Jayewardene Center
http://jrjc.lk


text by Ayana Alles

2015-11-04

アーユルヴェーダとともに暮らすスリランカ

スリランカ人にとってのアーユルヴェーダとは・・・

日本人にとってアーユルヴェーダと聞くと
エステのような美容目的のビューティー法を連想するかもしれませんが
スリランカでは毎日の食事のことから体調に関して
アーユルヴェーダの法則にしたがって問題を解決します。
それは健やかに生きる暮らしのための知恵であり、日々の習慣にまで根付いています。

約3000年前にインドから伝承したスリランカのアーユルヴェーダ。
基本的な考え方はインドのアーユルヴェーダと同じですが
スリランカでは土着の伝統医療と融合されたり
施術の際に、緑豊かなスリランカでしか取れないハーブが使われたりしていて
独自に進化したと言われています。
それらのハーブはトリートメントというマッサージの際に使われたり
アーユルヴェーダクリニックで処方されるオイルや煎じ薬にも使われます。

頼りになる地元のアーユルヴェーダ医院

西洋医療に頼る人も多くいますが
まだまだアーユルヴェーダの医院にもひっきりなしに人が訪れてくるそうです。
医師が診る症状は発熱や骨折した時や、蛇にかまれた時などで
西洋医学とほとんど変わりません。

実際、私の息子も小児喘息を持っているので義母の勧めで診察を受けに行きました。
先生との診察があり、薬を処方してもらい終了し
日本の小児科で診てもらう流れと同じでした。
しかし違うのが「牛乳は控えめに」などと食生活へのアドバイスがあったことや
処方された薬がハーブで出来た飲み薬であったことと
診察代金が診察だけだとお金はかからないので
先生への心付けをお渡しするという事でした。
その時、私たちは短期滞在だった為薬を飲み続ける事ができなかったので
効果がどうだったかお伝えできないのですが
西洋医学で処方された薬よりアーユルヴェーダの薬のほうがいいという人は多く
アーユルヴェーダに対して、人々の深い信頼が感じられます。
体のお悩みがある方は一度スリランカのアーユルヴェーダの名医に診てもらってみてはいかがでしょうか。

一家に一つはあるアーユルヴェーディック塗り薬

スリランカ人にとってはアーユルヴェーダは生活の一部ですから
日用品である石鹸や歯磨き粉、フェイシャルクリームにシャンプーなどの
ハーブを使ったアーユルヴェーダ・グッズがスリランカにはたくさんあります。
そんな中でもほとんどのスリランカ家庭に常備していると言える
『シッダーレーパーバーム』という定番の塗り薬があります。

スリランカ人たちに長年愛されているこのバーム。
その秘密は頭痛、肩こり、筋肉痛、火傷、咳の痛みに効く万能っぷりです。
シッダーレーパーバームはアーユルヴェーディックソープやオイル等のハーバルグッズを多く取り扱うシッダーレーパー社の看板商品です。
サイズは色々あり、一番小さいもので30ルピーで購入できます。
アーユルヴェーダ・グッズはスーパーなどで手軽に買えてます。
スリランカに行かれた際にはぜひ一度アーユルヴェーダ・グッズを使ってみてスリランカの暮らしにふれてみてはいかがでしょうか。


photo & text by Ayana Alles

2015-10-26

岬の突端に建つ白亜のコロニアル建築「マウント・ラヴィニア・ホテル」



歴史あるコロニアルホテルで、最高のスリランカ料理を堪能


コロンボから南に車で約20分ほど行くと
マウント・ラヴィニアというリゾート地に着きます。
そこに白亜のリゾートホテル「マウント・ラヴィニア・ホテル」があります。
イギリス植民地時代から続くホテルであり
随所に当時の面影を残していてクラシカルな雰囲気です。

写真:http://www.mountlaviniahotel.com
また、地元のグルメ御用達ホテルとしても有名です。
彼らのお目当てはホテル内の「ガバナーズ・レストラン」のスリランカ料理です。
ここの料理長パビルス氏が腕をふるう料理は絶品です!
パビルス氏は自身の料理番組を持っていたり
レシピ本を出版していて、スリランカで最も有名なシェフと言われています。
レストランだけの利用も可能なので、お食事だけでもオススメです。


写真:http://www.mountlaviniahotel.com


写真:http://www.mountlaviniahotel.com
マウント・ラヴィニアの名前の由来には
当時のイギリス人総督とスリランカ人の踊り子が
この地で密会していたという
恋物語が語り継がれているそうです。
そのため、ホテルのアメニティグッズには
二人のイラストが描かれています。



夜のマウント・ラヴィニア・ホテルは
客室から見える海から打ち寄せる波の音が聞こえ、ロマンチックな雰囲気です。
プライベートビーチのバーでゆっくりお酒を飲みながら
二人が密かに落ち合っていたことに想いを馳せることもできます。

写真:http://www.mountlaviniahotel.com
ココスパというバリスタイルのスパもあります。
バリ島出身のセラピストにマッサージしてもらえれば、旅で疲れた体も癒されます。



海沿いを走るマウント・ラヴィニアまでの鉄道の旅


ホテルは鉄道の駅マウント・ラヴィニア駅からも近いです。
そこでお勧めしたいのが列車で行くマウント・ラヴィニアです。
スリランカでの列車の旅は利便性に欠けるのですが
車の渋滞に巻き込まれなくてすみますし、何より景色がとても良いのです。
コロンボ〜マウント・ラヴィニアまでの約12キロの道中の車窓からは
砂浜の近くを走り、インド洋に浮かぶ船が見え
南国スリランカならではの美しい風景が味わえます。

マウント・ラヴィニアは都会の喧噪に疲れたら
少し足を伸ばして一息つくのに最適な場所です。

マウント・ラヴィニア・ホテル
http://www.mountlaviniahotel.com


text by Ayana Alles

2015-10-19

お散歩に最適!コロンボ市民の憩いの場

地元の人が集まるコロンボの憩いの場

コロンボの最も歴史があるホテル、ゴールフェイスホテルの近くに「ゴールフェイスグリーン」という芝生の緑地があります。
イギリス統治下の1859年に当時の総督ヘンリー・ジョージ・ワードによって作られたものです。

面積は5ヘクタール(東京ドームとほぼ同じ)
食べ物の屋台も出ていたり、凧揚げをする子供たちが居たり
家族連れや恋人たちの集まるコロンボの憩いの場です。

日陰がなく暑いのですが、すぐ横にあるインド洋の波打ち際で足を冷やし涼むこともできます。

この壁の向こうには緑地が広がっています。
後ろに見えているのはワールドトレードセンター

風にはためくスリランカ国旗


広いのでボール遊びもできます。
夕暮れ時にはインド洋から吹く風が気持ちいいです。
日没にはインド洋を真っ赤に染める太陽が見れるます。
それは想像している以上に美しいです!

コロンボの喧騒に疲れた時に、ここゴールフェイスグリーンで屋台のアイスクリームを食べながら夕日を眺めてみてはいかがでしょうか。

photo & text by Ayana Alles

2015-10-16

おすすめ!スリランカ料理レシピ本のご紹介


“スリランカのお母さんの味”を再現したい!そんなときに出会ったのは…


私のスリランカ人の旦那は、日本に来てもう11年になります。
日本食は刺身から鍋まで、なんでも食べられるのですが、
それでも、やっぱり祖国の料理は食べたくなるし、格別なよう…。

そんな旦那に美味しいスリランカ料理を作ってあげたい!
でも、なかなか“スリランカのお母さんの味”を再現できないのが長年の悩みでした。

そんなときに出会った救世主がこれ!!
日本初のスリランカ料理レシピ本です。

家庭で作れるスリランカのカレーとスパイス料理

著者の香取薫先生は、インド・スパイス料理研究家。
日本で「キッチンスタジオペイズリー」という料理教室を主宰されているだけあって、
初心者にもわかりやすい内容になっています。

インドだけでなく、スリランカにも若いころから通っていた香取先生。
「いつかスリランカ料理の本を出したい」と、自身のインド料理のレシピ本内でも少しずつスリランカ料理を紹介して来られました。

この本で紹介されているのは、レシピだけではありません。
アーユルヴェーダに精通されている先生ならではの、ハーブやスパイスに関する豆知識や、
スリランカの歴史、文化など、盛りだくさん。
写真も綺麗なので、お料理目的でない方にも十分楽しめる内容になっています。


“かつおぶし”が決め手のスリランカ料理!?


スリランカ料理にあって、インド料理に無いもの。
それは、ハガツオを燻製・乾燥させた“モルディブフィッシュ”でとる“出汁”の味だと思います。

カチカチに乾燥したモルディブフィッシュはまさにスリランカのかつおぶし。
スリランカ料理が、かつお出汁に慣れ親しんだ日本人の口に合うのもうなずけます。

スリランカ料理には、モルディブフィッシュ以外にも欠かせないものがあります。
それは各種スパイスとココナッツミルク。
普通のスーパーではなかなか見かけないこのような食材に関しても、
代用品や購入方法が丁寧に紹介されています。

このレシピ本通りに作ると、旦那も「スリランカの味だ!」と喜んでくれました。
息子にも、小さいときからこのレシピ本で作ったスリランカ料理を食べさせていたからか、
1才10ヶ月で初めて訪れたスリランカでも、現地の食べものを嫌がる事なく楽しんでくれました。

スリランカに行ったことがある方にも、これから行ってみたい!と興味を持たれている方にも、
おすすめの一冊です。ぜひご覧になってみてください。

「家庭で作れるスリランカのカレーとスパイス料理」

photo & text by Ayana Alles